『[新版]黙って野たれ死ぬな』
船本洲治 著
発行:共和国
376ページ
3,080 円(税込)
2018年発行、初版
♦︎非常に良い状態です
「黙って野たれ死ぬな!」
「やられたらやりかえせ!」
「自己の抑圧された情況そのものを武器に転化せよ!」
本書は、1985年に刊行され、長らく絶版のままだった『黙って野たれ死ぬな:船本洲治遺稿集』(れんが書房新社)所収の文章を初出紙誌にもどって検証し、現在の読者に向けて再構成した決定版。旧版では誤って船本のものとされた3篇を削除し、新たに論考1篇、同人誌『裸賊』の巻頭言や編集後記、自筆のビラ、焼身決起した当時の現地写真などを追加。これが現在目にしえる船本の全体像のほぼすべてとなります。また、日雇労働者による運動と実践の渦中から生まれた船本の表現との《共考》を意図して、論考も詩もおなじ扱いとし、時系列で収録。
目次を一読すればわかるとおり、45年も前にさまざまな闘いの現場から発せられた、「流動的下層労働者」をとりまく状況、土木資本による海外侵略や搾取、民族差別、沖縄・朝鮮半島をはじめとするアメリカ帝国主義による世界支配といった数々の「問題」が、さらなる「改元」を迎えつつある2018年現在もなにも解決されないまま、むしろいっそうグロテスクなものとしてわたしたち前に現われています。こうした支配と差別と階級の壁に穴をうがつために、ぜひ長く本書をひもといてほしいと願っています。
ことばのすみずみまで、もうどこでどう爆発するかわからない暴動みたいな力にあふれている。――栗原康
船本は闘争のなかで、戦線が拡大するごとに設えられる境界を、絶えず突破しつづけた。言葉の力をもって、閉ざされそうになる政治の空間をこじ開けつづけた。敵の言葉を転覆させては、言葉と実践を発明しつづけた。失業の泥沼に突き落とされ、国家から弾圧されてもなお、言葉を生み出すことをやめなかった。諦めることを知らないその強靭な意志と創造の力が、私たちを驚嘆させるのであり、いまなお力づけるのである。――原口剛
1975年6月、沖縄米軍嘉手納基地第2ゲート前で「皇太子訪沖阻止」を叫び、《流動的下層労働者》の解放を確信して、炎に身をつつんだ船本洲治。享年29。
新発見の論考、エッセイ、写真などを収録した《決定版》。
書き下ろし解説=中山幸雄、原口剛